機能性NETの種類

インスリノーマ
膵臓に発生します。インスリンが過剰に分泌され、低血糖を引き起こします。低血糖の症状には、中枢神経症状(記憶力低下、意識障害)と自律神経症状(冷や汗、空腹感、震えなど)があります。95%が良性で機能性NETの中で最も多い疾患です。
ガストリノーマ
主として膵臓、十二指腸に発生しますが、胃や卵巣などの他の臓器にも発生します。腫瘍から過剰に分泌されるガストリンによって胃酸の分泌が強まり、再発性の消化性潰瘍、逆流性食道炎(胸やけ、腹痛など)を起こします。90%以上が悪性腫瘍で、発症時には3分の1が肝臓へ転移しています。
VIPオーマ
主として膵臓と十二指腸に発生します。VIP(Vasoactive Intestinal Peptide:血管作用性腸ペプチド)が過剰に分泌され、激しい水様性下痢による脱水症状、疲労感、筋力低下、息切れなどを引き起こします。
グルカゴノーマ
膵臓に発生します。痛みやかゆみを伴う紅斑(赤い斑点)や体重減少、貧血、糖尿病などを来します。
セロトニン産生腫瘍
肺、気管支、小腸などに発生します。セロトニンやアミンなどが分泌され、皮膚潮紅(皮膚が赤みを帯びる)、下痢、腹痛、心疾患、喘息などを引き起こします。また、肝臓へ転移した場合には、心臓や肺に重篤な障害を引き起こします(カルチノイド症候群)。
ソマトスタチノーマ
主として膵臓、十二指腸などに発生します。腫瘍から過剰に分泌されるソマトスタチンによって、糖尿病や胆石症、腹痛、体重減少、下痢または脂肪便などが引き起こされます。
機能性NETの治療
NETの切除手術によって腫瘍を摘出すれば根治します。手術で根治できない場合には、薬で症状を抑えたり、増殖を抑制することができます。